第一級アマチュア無線技士(1アマ)直前講座 アンテナ・給電線編

試験が直前にせまってきたので、空中線系について要点などまとめてみます。

 

アンテナの種類と特徴

・半波長ダイポールアンテナ

平衡アンテナ。絶対利得2.15dBi, 相対利得0dB。インピーダンス73Ω。

不平衡の同軸ケーブルと接続するにはバランが必要。

ちょうど1/2波長では誘導性のため、若干短縮して純抵抗とする。

・1/4波長垂直接地アンテナ

インピーダンス37Ω。接地が不完全だと放射効率が低下する。

地面による鏡像を利用する。接地アンテナ。

・ホイップアンテナ

1/4波長では給電部で電流分布最大、1/2波長では給電部で電圧分布最大。

定在波アンテナで、先端で電流分布はゼロとなる。

不平衡アンテナ。3/8波長だと50Ω系の給電線と整合が取りやすくなる。

垂直偏波、指向性は水平面内無指向性、垂直面内8の字特性。

・スリーブアンテナ

不平衡アンテナ。垂直半波長ダイポールとほぼ同じ特性ですが

スリーブが太いので入力インピーダンスは70~65Ω程度となります。

75Ω系の同軸給電線と直接接続可能。指向特性は垂直半波長ダイポールと同じ。

エレメント長、スリーブ長ともに1/4波長。

・ブラウンアンテナ(グランドプレーンアンテナ

入力インピーダンス約20Ω。ラジアルの角度を変える、エレメントを折り返すなどで

給電線と整合を取ります。同軸ケーブルを直接接続可能。

垂直偏波、水平面内無指向性。ラジアル長は1/4波長。

・キュビカルクワッドアンテナ

水平偏波です。一周が1波長の放射器とそれよりわずかに長い反射器からなります。

水平面内単一指向性。放射器と反射器の距離によりインピーダンスが変化します。

ループ面と垂直な方向に放射します。

・ループアンテナ

ループ面内に8の字指向特性を持ちます。キュビカルクワッドアンテナとは

垂直な指向特性を持ちます。中波帯などでよく使われます。

実効高は巻数とループ面積に比例し、波長に反比例します。

垂直アンテナとの組み合わせ・合成でカージオイド形の指向特性が得られます。

受信感度が最小になる方向に対して鋭い特性を持ちます。

方向探知用アンテナなど。

八木・宇田アンテナ

水平面内鋭い単一指向性。水平・垂直両偏波で使用されます。

放射器を折り返すと広帯域、高インピーダンス、実効長が長くなります。

放射器は半波長ダイポール、導波器は容量性、反射器は誘導性です。

スタックにすると指向性および利得が向上します。

・コリニアアレーアンテナ

垂直半波長ダイポールを多段にした特性。

放射エレメントは1/2波長の同軸アンテナ、それぞれ同相・同振幅で励振します。

水平面無指向性、高利得。

・ロンビックアンテナ

行波アンテナ。広帯域。単一指向性。

・対数周期アンテナ

広帯域、自己補対アンテナ。測定用など。隣接するエレメントは逆位相で給電する。

・ディスコーンアンテナ

広帯域、VHF~UHF。垂直偏波水平面内無指向性。インピーダンス約50Ω。

同軸ケーブルと直接接続。

・パラボラアンテナ

反射器は回転放物面。放射する電波は平面波。直径が大きいほど、波長が短いほど

指向性は鋭い。利得は開口面積に比例し、波長の2乗に反比例する。

・アルホードループアンテナ

水平偏波、一辺が1/4波長の正方形。主にVHF帯で使用。

水平面内ほぼ無指向性。

・双ループアンテナ

一周が1波長のループを1/2波長の給電線で2つ以上接続したもの。

水平偏波、UHF帯、高利得、広帯域

 

給電線

・平行二線式ケーブル

平衡アンテナに直接給電できる。外部のノイズの影響を受けやすい。

300Ω程度の高インピーダンスのものもある。TEMモード。

同軸ケーブル

不平衡給電線。平衡アンテナに接続するにはバランが必要。

外部のノイズの影響を受けにくい。TEMモードで使用する。

・導波管

TEモードなどで使用する。TEMモードでは伝搬できない。

遮断周波数以下の電磁波は伝送できない。

管内波長は自由空間よりも長い。マイクロ波を効率的に伝送できる。

 

不要輻射の低減

・給電線にBPFを設ける。

・高調波トラップを設ける。

・給電線からの輻射を避ける。

 

アンテナにおいては、同じものを送信と受信に用いた場合において

指向性、利得、入力インピーダンスなどは一致するが、電流分布は異なる。

 

同軸ケーブルは周波数が高くなると、誘電損、表皮効果による抵抗損が増加する。

また、耐電圧に注意する。

自由空間および給電線の特性インピーダンスはテスターでは測定できない

電圧反射係数は複素数(ベクトル量)である。絶対値は実数である。

特性インピーダンスも一般には複素数で表される。

 

各種計算上必要な公式は参考書などを参照してください。