汎用OPアンプを用いた安定化回路

単電源の汎用OPアンプ LM358Nを誤差増幅器に用いた低雑音でロードレギュレーションに優れた直流安定化回路です。以下、実際に製作した回路の回路図です。

 

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LM358N使用 低雑音直列型安定化回路

 

LM358Nは入手の容易な安価な汎用のOPアンプですが、これを誤差増幅器に用いることで、良好なロードレギュレーション、低雑音を実現できます。特別なOPアンプでなくても充分です。誤差増幅器トランジスタを用いたものよりはるかに優秀です。

 

Tr3の放熱がしっかりしていれば連続で1~1.5 A程度の電流を出力することができます。出力電圧はVRを調節することにより可変です。

 

Tr1はJFETによる定電流源です。ICがあまり大きな電流を吸い込めないので、Dランクの2SK2881を使用しています。Tr3を直接制御するには少し厳しいので、Tr2とTr3をダーリントン接続しています。

 

D3は基準電圧を与えるツェナーダイオードです。D3に電流を供給するR2がないと正常に動作しません(R2を省略すると実際にうまく動きませんでした)。

 

C3はより雑音を低減するために出力に含まれる雑音や交流分をしっかりICの反転入力端子に戻すためのコンデンサです。

 

この回路で実際に500 mA程度出力しても電圧の変化は10 mVあるかどうかでした。非常に出力インピーダンスは低いです。汎用OPアンプでも思った以上に強力な恩恵を受けることができました。出力をオシロスコープで観測するときれいな直流になっていました。無負荷時に比べて450 mA出力時にはわずかに雑音が増加しましたがそれでもかなり抑えられていました。優秀な直流安定化回路であるといえます。

 

100 mA以下の小さい電流では問題になりませんが、ある程度大きな電流を出力するとTr3の発熱がかなりあります。Tr3にはヒートシンクが必須です。1 A以上を連続で出力するにはTr3の放熱が重要になります。

 

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入力波形(無負荷)

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出力波形(無負荷)

 

 

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入力波形(20 Ω負荷)

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出力波形(20 Ω負荷)