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ドビュッシー 練習曲集 主観的論考

楽譜はいちいち上げません。IMSLPなどにいくらでもあるのでそちらを参照されてください。全曲解説もしません。普段聴いているのはジャック・ルヴィエの録音です。

 

Livre Ⅰ

五本の指のための練習曲、チェルニー氏による Pour les ≪ cinq doigts ≫ d'apres monsieur Czerny》(ハ長調

調性は割とはっきりしたハ長調です。ところどころaugコードと解釈すべきか全音音階と解釈すべきかLydianと解釈すべきかというフレーズがあります。ドビュッシーらしいですね。とはいえもちろんハ長調に完全に嵌るでもなく調性外の音もたくさんあります。ラストは明瞭なハ長調でしめられます。

とても皮肉の利いた楽しい曲です。技巧的にも全体的に速いので大変かもしれないですね。私はピアノは弾くことはできないのではっきりしたことは言えませんが。

 

四度のための練習曲 Pour les quartes》(ヘ長調

4度の響きが面白く綺麗な曲ですね。リズムにも技巧が凝らされていて、音響とリズムの両面で楽しめる曲です。調性はヘ長調となっていますが、全体的に暗い感じがします。美しいです。

 

オクターヴのための練習曲 Pour les octaves》(ホ長調

力強い導入が印象的です。全体的に力強いですね。半ばからリズムが面白く変化します。その後和声ががらっと展開して美しい場面があり、決然と終わります。

 

Livre Ⅱ

装飾音のための練習曲 Pour les agréments》(ヘ長調

冒頭からいきなり美しい和音で始まります。装飾音のための、とあるように装飾的な動きがあちらこちらに見られる曲です。修飾音というものは音楽においてとても重要なのです。

 

対比的な響きのための練習曲 Pour les sonorités opposées》(おおむね嬰ハ短調

この曲のことが一番書きたかった。ドビュッシーの曲の中で最も好きな曲かもしれない。ゆらゆら~ゆらゆら~なのはこの曲集全体を通して言えることかもしれませんが、この曲はその中でも顕著なほうです。この曲はなにが素晴らしいかというと和声の美しさだと思います。そしてゆらゆらゆらめくリズムがさらに精妙さを引き立たせています。主観ですがこれほど美しい和声が散りばめられた曲は他に知りません。曲全体アンニュイな雰囲気ですが、抽象的で派手さはないものの実に耽美的です。そして最後のアルペジオ。これほど美しいアルペジオがあっていいのかという、精妙で、この素晴らしい曲全体を統括するにふさわしいものです。

 

ドビュッシーの練習曲集はショパンの練習曲集に刺激されて書かれたもののようですが、まったく音楽性が違います。別物です。ドビュッシーショパンの書法を真似て書いていたとしたら、これほどの作品にはならなかったと思います。練習曲集というとショパンが有名ですが、ドビュッシーもぜひ聴かれることをおすすめします。

 

ドビュッシーショパンの焼き直しになる必要はなかったし、ならなくてよかったと思います。

 

まだまだ未消化のこの作品、さらに理解を深めていきたいですね。