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質点と空間

古典力学での質点、空間についてお話ししたいと思います。物理を学んだ人なら当たり前のような存在ですが、実はなかなか単純なものでありません。数式は使わず一般の方でも読めるように書きたいと思います。

 

力学における質点とは何か。これは大きさを持たない点であって、なにか物体を小さく小さくしてしまいには点になったようなものです。点であるのに質量を持っている。質量とは物体に力を加えたときにいかに動かして加速しにくいかというものだと思ってもらえれば結構です。

 

これが「空間」を運動するわけです。空間とは無数の点の集まりが広がったものだと思うのが後々の議論のうえで有益です。点はいくら集まっても1次元が2次元、3次元に広がることはないという数学の話がありますが、この場合、広がりを無数に分割した極限を取ると点の集まりとみなせる、そういうものだと考えればイメージしやすいかと思います。

 

なぜ空間を無数の点の集まりと考えるかというと、質点の動きを時々刻々と追うためです。質点は空間のある点にあります。それが次の点、次の点へと動いていく。ここで決定的に重要なのが、質点は常に自己同定しながら動いていくということです。ある点から次の点へ移っても、質点はその自己同一性を持っている。質点が自己同一性を保ち続けるということが重要です。

 

さて、質点が空間を運動するといったとき、質点が空間(無数の点の集まり)のどこにあるかということが当然問題になってきます。ここで導入するのが座標系です。3つの直交した直線に目盛りを―どこまでも細かい目盛りを―振ったものです。これにより

(x, y, z)

という3つの数字の組で空間の点、質点がどこにあるのか正確に決められます。これが時刻とともに変化することが運動だといっても良いでしょう。

 

時間というのがなんなのか、これについては既知とします。時計で測れるように変化するものです。これのある一点が時刻です。力学でいう空間にはこのようなものが備わっているものとします。

 

この質点に力が加わると加速度が生じて運動が様々に変化します。力とはなんなのか。これはもう難しい問です。質点の運動を変化させるものとしか言いようがない気がします。

 

質点、空間とはこのようなものです。これが力学において主要な概念です。質点に対して剛体というものもありますがこれについてはとりあえず言及しません。

 

質点というのはニュートン以降のひとがその体系の贅肉をそぎ落として洗練させた概念です。いわば観念的なものでもあるのですが、運動を扱うときに物体を点とみなして良い、そのほうが都合が良いということがよくあるわけです。現在の力学の教科書ではいとも当たり前に質点が導入されますが、力学を創っていくという段階では直ちになかったものです。理論を新しく創るというときにはそういうことがあるというのは理論を創る立場に立つときに重要なことだと思います。

 

ひとまず古典力学における質点と空間という話はこれくらいにしたいと思います。

 

参考文献

湯川秀樹:物理講義,講談社